第三回 「夜想会(セックスファンタジーナイト)」 2009年4月
妄想歓談・交流会「プロム・魅惑の深海ダンスパーティ— —夜想会(セックスファンタジーナイト)Ⅲ」の開催報告をさせていただく。

「遊びの学校」の課外活動である今回の交流会、時期が時期だけに、コンセプトを“卒業”とした。勿論、何度もいうが、生涯教育である“遊び”に卒業はない。ただ、「遊びの学校」が昨年2008年4月に本格開校して、丁度、1年目の節目である。1年間、学んだ成果を交流会の場で披露していただきたいという思いもあったのだ。

交流会のタイトルは、アメリカやカナダの高校の学年最後に開催されるダンスパーティ「プロム(Prom)」。そして、サブタイトルは「魅惑の深海ダンスパーティ」とした。今回は、プロムをインスパイアしたダンスパーティというコンセプトである。

「魅惑の深海ダンスパーティ」は傑作SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年・米映画・ロバート・ゼメキス監督・マイケル・ J・フォックス主演)の中に出てくる卒業のダンスパーティのタイトルである。同映画の主人公マーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)。その両親になるロレイン(リー・トンプソン)とジョージ(クリスピン・グローヴァー)が初めてキスをしたのが同題のプロム。二人がキスをしたからマーティは誕生した。同パーティは物語の始まりでもある。勇気を持って、女性を誘い、甘いキスをかわす——そんなわくわくするような魅惑の瞬間を味わっていただきたい、という思いからタイトルをつけた。

前回の妄想歓談交流会「SEX and the CITY——夜想会(セックスファンタジーナイト)Ⅱ」同様、 “プロム”に相応しいドレスコードを設けさせていただいた。女性はカクテルドレス、ワンピース、スーツなど、セミフォーマル、もしくはそれに準じる格好。セクシーランジェリー(ビスチェ、ベビードール、ガーター他)も正装(!)とさせていただいた。男性はビジネスカジュアル(ジャケット着用、スーツ、ノータイ可)など、セミフォール(本来はタキシードがセミフォーマルになるが、タキシード着用の必要はない)に準じる格好。ラウンジでは靴を脱がず、履いたままで過ごす、というのも前回同様だ。

この日のため、特別の会場も用意した。通常のホテルではなく、長期滞在型のアパートメントホテルを使用。副都心の高層ビル群を臨む、2LDKの部屋で、100平米を超える広さである。当然、キッチンもあり、それが後々、演出に役立つことになる。

伝説の夜の主役達は、その日の夕刻、続々と集まりだす。ドレスコードの通り、女性、男性ともドレスアップして、ファッションからして“非日常” を纏う。参加者は基本的に、受講生を中心にしている。以前は、意図的に男性は受講生だけでなく、経験豊富な男性を配するようにしたが、今回は、女性、男性とも、「遊びの学校」の公開講座や懇談会、見学会などに、参加した方ばかり。男女ほぼ同数で、30数名が参加した。まさに1年間、学習してきたものを現場で、実践していただく——そんな場所、機会とした。

会場には、リラックスしていただくため、軽いジャズを流す。『スイングジャーナル』誌でも話題の豪州出身、現在はイギリスで活躍中のピアニスト、クレイグ・シュナイダー率いるピアノ・トリオの最近の作品『TRIO//』だ。あるレコード店の解説には「瑞々しいタッチと流れるような美しいメロディによる優雅さと、トリオの一体感が生み出すダイナミズム、そしてリラックスしたムードが共存した」とある。まさに、この日に相応しい。

軽快なジャズのリズムが部屋を少し温めたところで、地上デジタル対応のテレビの液晶モニターには、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のテーマソングが流れ、同映画の名場面をコラージュした映像が映し出される。いうまでもなく、今回の「魅惑の深海ダンスパーティ」という命名は、同映画から取っている。当然、そのパーティ・シーンも挿入されている。そして、同映画のテーマソングがエンディングに向かうところで、画面は映画のコラージュから一転、今回のためにお馴染みの新進気鋭のデザイナーが作成したポスターが飛び出す。会場から一斉に歓声が上がる。このために、映像関係の仕事をするスタッフが特別に作ったものだ。

いよいよ、開会である。

開会の挨拶と乾杯は、グループセックスの水先案内サイトの金字塔「遊びの時間」の管理人であり、「遊びの学校」の名誉校長であるミック様。ミック様の挨拶(当然、学校行事なので、当日を楽しく過ごすための細かい注意をする)後、琥珀色のスパークリングワインをグラスに注ぎ、この日を祝うかのように、乾杯をする。

乾杯後、受講生達は自己紹介をしていく。挨拶は、この世界の基本だ。テーブルには甘美なスパークリングワインや滋味溢れるビール、美味なるオードブルやサンドイッチが用意されている。また、受講生からの差し入れの美食や美酒も並ぶ。飲食を取りながら、会話が弾み、交流を深めていく。

ラウンジは、先のポスターを壁や柱に貼りめぐらし、シャンデリアの雰囲気のある灯りに照らされる。海賊船とキッシングドルフィンを模ったヘリウムガスを入れたバルーンを光の海に浮かべる。こんなところも拘らせていただいた。勿論、拘りは、それだけではない。少しずつ、披瀝することにしよう。

会話が自然と転がりだし、緊張が解けた頃に、“プロムカード”を使用したアトラクションをさせていただく。男性、女性を各3組計6組のグループ分けをし、少人数で自己紹介をしながら自らの妄想や願望を披露し合う。時間を15分と区切り、グループチェンジをしながら男女が全員と歓談できるようにした。

全員と歓談後、スタッフが配ったカード(同カードがプロムカードになる)に、「もう一度、話したい」、「もっとコミュニケーションを取りたい」という方の名前と、ご自分の名前を書き込んでいただく。書き記したら、スタッフへ渡す。それをスタッフが確認し、名前がリンクした男女をカップリングするのだ。カナダやアメリカの卒業パーティでも実際に、行われていることらしく、このカードが卒業パーティ気分をさらに盛り上げる。カップルになられた方々には“スペシャルシート”を用意して、再度、お話しいただき、さらにコミュニケーションを深めていただくという趣向だ。

実は、今回、ラウンジ以外にも寛ぐ場所として2部屋を用意した。各部屋は、「GREAT BLUE(グレートブルー)」、「DEEP  SEA(ディープシー)」と命名。「グレートブルー」はおしゃべりも可能で、“SMごっこ”などもできるようにしている。「ディープシー」は、「グレート ——」とは対照的に、歓談やSMなどは一切、禁止とさせていただく。各々、「グレート——」はハプニングバー、「ディープ——」はカップルカフェというニュアンスだ。

「グレート——」はビデオプロジェクターを使用し、壁面にモルジブやグレートバリアーリーフの深海の映像を流す。同所の中に佇むと、まるで海の中にいるような錯覚を起こすほど。「ディープ——」は、青色LEDライトと青色のフィルターをかけた球体のランプを使用し、深い海の底を再現。海底は、アロマの妖しい香りに包まれ、“パイレーツ・オフ・カリビアン”に因む財宝箱も隠して置いた。

スペシャルシートは、グレートブルーに用意した。名前がリンクしたカップルを同部屋へ誘う。同部屋では、相互理解へと向かう濃密なコミュニケーションが繰り広げられることになる。

カップリングが成立しなかった受講生達は、再度、ラウンジで皆様と歓談していただく。もし、好みの方がいたら、さりげなくスタッフに耳打ちいただければ、少しはお手伝いさせていただく、また、迷惑にならない程度に、積極的にアタックをすることも勧めておいた。

勿論、“ダンスパーティ”である。ラウンジで踊っていただいてもいいように、ダンサブルな音や映像も用意。スタッフが先の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『アメリカン・グラフィティ』の映像を含め、ロックロール、ディスコ、ハウスなどの映像をコラージュして作成したオリジナルなDVDを流す。

夜が深まると、小腹も空いてくる。“夜食”は、キッチンが大いに役に立つ。以前、「遊びの学校」を“才と志の集いし場”と表現したが、今宵、駆けつけた受講生の中には、飲食関係の仕事をしている方もいて、その場でパスタやピザを作っていただく。いきなり、リストランテが出現したというわけだ。やはり、火の入った温かいものを食べられるのは嬉しいもの。オリーブオイルやハーブなどを巧みに使用し、絶妙の味である。美味なる夜食を配るのが可憐なるメイドコスプレをした美女というのも、交流会らしい、華やかさだろう。

日を跨ぐ頃になると、当初は終電に合わせ、日帰りの予定だった方が何名も宿泊となっていた。それだけ居心地がいいからかもしれない。

ラウンジは、和やかでいて、艶やかな会話を嗜む、大人の遊びの時間が過ぎていく。時が経つとともに、グレートブルーでは麻縄を纏い、捕縛されながらも泳ぐもの、ディープシーでは海底探索をしながら“深海遊戯”に興じるものも出てくる。まさに、魅惑のダンスパーティが繰り広げられているのだ。

いい意味で、まどろみの中にいるような浮遊した空気をさらにとろかすように、ジャズ歌手、MAYAの『MAYA+JAZZ』をかける。あるレコード店の解説には「大人の色気、MAYA。渾身、溢情、哀切のジャズバラードここに」とある。甘い吐息のような歌と音が会場をより雅に艶やかに変えていく。その頃には、抱き合いながら眠りに落ちるもの、気と情を通わすもの、性愛について熱弁を奮うもの、見つめあいながら会話を交わすもの……など、各々が自由でいて、規律ある時間を過ごす。

そこにいる誰もがその場にいることを享受しているようだ。ここには空気を読めず、自分勝手に動く、嫌なやつなどは誰もいない。会場にいるものを思いやり、慈しむ。その場を多幸感が包む。楽しい時間はあっという間かもしれない。あかつきに陽が昇る頃、その会はしめやかに閉じさせていただいた。受講生達は、誰もが名残惜しさを感じながらも一様に満ち足りたという顔をしている。

「遊びの学校」が本格開講して、1年が経った。その意味と成果を確認できる夜だったのではないだろうか。もし、“伝説の——”というものがあるとしたら、今宵こそ、まさにその夜であった。歴史は夜作られるというが、その夜、受講生達は、歴史に名や思いを刻む伝説を作った。そして、私たちは、終わることなく、動き続ける。また、新たな伝説の始まりである——。