第一回 「夜想会(セックスファンタジーナイト)」 2008年7月
その会場にはベルリオーズの「幻想交響曲」が厳かに流れていた。同曲はベルリオーズ(エクトール・ベルリオーズ 1803-1869)が憧れ、恋焦がれる女性を思って、書き下ろしたもので、当時としては類を見ない大編成管弦楽だ。「舞踏会」や「魔女」、「夜宴」など、澁澤色の言葉も楽章のタイトルに盛り込まれている。演奏会場での音の効果やバランスに「こだわり」を持ったというベルリオーズの楽曲ほど、この夜に相応しいものはないだろう。

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この4月から「大人の艶会」の幹事会が母体となり、グループセックスの世界の健全化・普及化のために「遊びの学校」を本格開校させていただいた。本校の活動も4月、6月の公開講座に続き、7月のハプバー見学会「大人の社会科見学」と、回を重ねてきた。お陰様で、高い評価と多くの支持を得て、いずれも盛会で終えさせていただいている。

そして、先週末、2008年7月12日(土)の妄想歓談・交流会「夜想会(セックスファンタジーナイト)」は、遊びの学校の2008年前期の締めくくりである。考えてみたら、6月28日(土)の公開講座から3週連続。ご苦労なことだ(笑)。

今回は、表題の通り、セックスファンタジーを語り、聞き、時には体感してみる「遊びの学校」の課外授業である。いわば研究発表会みたいなものだろう。高級ホテルのスイートで、ゴージャスなランジェリー、キュートなコスプレ、ラグジュアリーなナイトウェアを纏い、セクシャルでファンタジックな時間を過ごすパジャマパーティ。この世界は初めてという方にとって、 “はじめの一歩”を踏み出すには最適なデビューステージとなるべく開催されるものだ。

公開講座、見学会で学んだことを実践する機会。勿論、それは単純にプレイという意味ではなく、コミュニケーションという意味である。

まずは、いつもの通り、その場に集まっていただいたすべての方に感謝したい。予想以上に多くの方が来てくれた。小規模(確かに艶会と比べれば小規模だが)としておきながら、知らぬ間に人が溢れ、やや窮屈な思いをさせてしまったことをお詫びする。それだけ、初心者向けの交流会に対する要望の多さと必要の高さの証明だろう。

今回は、誰でも彼でも参加できるというものではなく、初心者女性を中心に、経験豊富な男性を配するという構成を意識的にした。初心者男性も数名、参加してもらったが、あくまでも全体は上記のようにしてある。いわば、この世界は初めてという女性に安全に安心して、楽しんでいただくためには、必要なことだったのではないだろうか。

先に述べたように、開場時間を過ぎると、ベルリオーズの「幻想交響曲」に導かれるように、ビギナー達が集まりだす。今回は入室したら、まず着替えをして貰うことにしている。パジャマパーティというコンセプトに則し、なるべく寛いでいただけるように、その準備をしていただくというわけだ。 果たせるかな、セクシーなランジェリー(サルート多数!)からメイドルックや民族服などのコスプレまであり、会場は華やかさと艶やかさが増していく。

寛いだところで、「遊びの学校」の名誉校長であるミック様の挨拶が始まる。今回、この「夜想会」に際して、参加者に4枚つづりの案内を配布したが、それは本授業(!?)のテキストである。そこには今回の決まりごとを明記するとともに、グループセックスそのもののルールやマナーも詳述されている。その説明も敢えて、させていただく。こんなところも学校たる所以。

挨拶後、今年還暦を迎えた妄想界(!?)のカリスマといわれる方に乾杯の音頭を取っていただく。盛大な乾杯な後、参加者の自己紹介。ただ、名乗るだけでなく、自らのフェチや妄想を語る方もいる。

その後、ラウンジで、皆様の妄想を披露し合っていただくという趣向だったが、人数が多く、じっくり座りながら話すというより、グラスを片手に自由に会場を泳ぎ回りながら、思い思いに語らっていくようになった。

テーブルには、参加者から差し入れを含む、美食美酒が並ぶ。さらに、この日のため、特別のカクテルも用意した。赤、青、緑の色鮮やかで幻想的な三種類。「今夜はどの幻想にいたしましょうか? レッド、ブルー、それともグリーンですか?」この世界の粋人といわれる方にバーテンダーになっていただき、可憐なバニースタイルのウェイトレスが皆様に、妄想を掻き立てる幻想味のカクテルをお配りする。色鮮やかなカクテルを傾けながら、その場に集まる華麗なる妄想者達の交流は深まっていく。

同時に、昨年12月の「大人の艶会FINAL」で、会場をアロマとエロスの漂う空間に変えた眞山寛子様のエロママッサージも施術させていただいた。グラマラスな身体を芳しい匂いが包んでいく。施術を受けた方は、 その快楽に惚けた顔をしている。真の癒しを体感していただいたようだ。

また、日を跨ぐ前には、寿司をつまみながら、落語を聞くという“ジャパーン”な企画(「大人の艶会FINAL」でも実施)も用意。落語は、「遊びの学校」の公開講座の司会・進行でお馴染み、本校の名誉教頭であるエロライター(本人談)の下関マグロ様である。幻想的な話とともに、会場の一角では寿司が握られていく。

さらに、先日の公開講座の第二回目に、ゲストとして講演していただいた井上メイミー様が開発に関わった女性向けのアダルトグッズの説明会。 ミック様がマーフィー岡田のように、実演販売(!?)の乗りで、説明していく。当日は、モニタリングもしていただくために、彼女から皆様のために提供していただいた製品をお配りした。

妄想を語り、聞く、そして、その妄想を体感してみるという言葉の通り、 緊縛や羞恥、レズ、3P…などを講師陣の指導の下(正しい胸触り方講座もあり!)、実現させていく。

七夕を再現した星降る部屋で、彦星が織姫の願望や妄想を叶える。その模様、詳述はさけさせていただく。行間を読み、妄想していただければと思う。

その授業は、夜から朝まで、不夜城状態で続いていく。深夜には、終電で帰る人もいて、ある程度、人数が落ち着いてきたこともあり、本来の目的であるコミュニケーションを充分にとることができてくる。中には、その会話の中から自らの課題を見つけ、克服すべきことが見えてきたという方もいた。また、いままで、いろんな思いを抱え、出せずに悩んでいたが、それを表明していいことを知り、随分、楽になったという方もいた。さらに、この世界の先達の矜持に、影響を受け、自らの非日常のあり方を模索しだす方もいる。

今回の「遊びの学校」の活動のコンセプトを“Absolute Beginners”としたが、それは80年代の英国のミュージカル映画『ビギナーズ』の原題から取ったもの。同映画は1958年のロンドン・ソーホーを舞台にジャズと踊りに明けくれる若者たちの群像を描いている。監督はセックス・ピストルズのドキュメンタリー『グレートロックンロール・スゥインドル』を手掛けたジュリアン・テンプル。デビッド・ボウイやパッチィ・ケンジットも出たMTV感覚の作品である。

同映画の公開時、85年には、“ジャズで踊る”というのが流行ったが、会場にも、同映画のDVDを始め、ジャズで踊る音楽を流させていただいた。妄想を語りながら、ビギナー達は心と身体をスウィングさせる。参加者にとって、記憶に残る夜になったのではないだろうか。なんて、素敵な夜なんだろう。