第四回公開講座 2008年12月6日(土)
「話す・聞く・見る GSコミュニケーション原論」
ゲスト|藤原玄(出張ホスト・彼氏代行「おもちゃのGEN」)


先週末、2008年12月6日(土)に「遊びの学校」の第四回公開講座「話す・聞く・見る——GSコミュニケーション原論」を、東京・渋谷の会議室を借り切り、開講させていただいた。まずはいつも通り、その場に来ていただいたすべての方に感謝したい。年末のため、予定が立て込んでいたらしく、受講者は30名ほどだったが、今回、特筆すべきは、女性受講者が男性受講者を上回ったこと、また、新たに受講する方も数名いたことだ。改めて、この世界への興味と関心の高さを確認することになる。女性受講者が多いのは、今回のゲストである出張ホストの藤原幻様の人気もあるのかもしれない。出張ホストという名前は聞いたことはあるが、なかなか、接する機会がないため、興味津々といったところだろう。
 
まずは、司会と進行を兼ね、「遊びの学校」の名誉校長であるミック様が登壇。第一部の開会である。今回で、第四回を迎える公開講座を第一回から第三回までを“おさらい”する。参考だが、これまでの講座は以下になる。
 
2008年4月19日(土)
第一回「グループセックス入門&ハプニングの楽しみ方」
ゲスト・金太郎(コミュニティ「ハプニングバーの楽しみ方とは」管理人)
 
2008年6月28日(土)
第二回 「新女性上位時代 ——フェチ・ミズム〜あなたの妄想は実現する!」
ゲスト・井上メイミー(「我楽」広報・「カーミラ」元編集長)
 
2008年9月27日(土)
第三回「「求められる男・求められる女——この世界で必要とされるための自分磨 き」
ゲスト・蘭(プライベートリビング「クリスタルベル」元ママ)
 
第一回ではグループセックスの入門篇として、この世界へ飛び込む方の不安や疑問に答える。ハプニングバーのオーソリティの金太郎様を講師に、入門の場所としてのハプニングバーについて、詳細に説明もした。
 
第二回は、レズビアン雑誌の元編集長で、現在は女性向けのアダルトグッズを開発する井上様をゲストに迎え、女性の妄想や願望を聞きだし、女性のフェチズムとは何かを考え、女性中心のセックスを模索。
 
第三回では、ハプニングバーの元ママ・蘭様をゲストに、この世界で必要とされる男性や女性になるための自分磨きとでもいうべき、流儀や所作、方法を学んだ。
 
そして、今回は、
 
2008年12月6日(土)
第4回 「話す・聞く・見る——GSコミュニケーション原論」
ゲスト・藤原幻「出張ホスト・彼氏代行「おもちゃのGEN』」
 
である。
 
公開講座の間にハプニングバー見学会が2回、妄想歓談交流会が2回、受講生と講師の懇談会が1回。この1年間、よく動いたものだ。
 
ミック様は、“おさらい”を終えると、自らの経験を踏まえ、語り出す。この遊びの醍醐味はコミュニケーションを取り、少しずつお互いの距離を詰めていくことだという。新しい場所では、自らも胸が高鳴るそうだ。そんなところで、下心をむき出しにして、ギラついている人もいるが、それはコミュニケーションをとることから、遠ざかることだともいう。もともと、ある程度、セックスを期待しているのだから、必要以上の欲望の表出は、逆効果というわけだ。コミュニケーションが取れているとはいいがたい。ある意味、今回のテーマである「話す・聞く・見る」がコミュニケーションの基本である。自らを伝えるために話し、相手を知るために聞く、表情や声で反応を見ること、それが大事なのだ。
 
10分の休憩後、再びミック様が登壇。旧友である「出張ホスト・彼氏代行『おもちゃのGEN』」を主宰する藤原幻様を呼び出す。ホストというと、女性から金を巻き上げるみたいなイメージがあるが、彼はその対極にある。むしろ、ホストというより、彼氏代行、便利屋的な要素が強く、最近はトレッキング(というお洒落な言い方より、登山が相応しい!?)にも同行したそうだ。
 
そんな人の良さを感じさせる温和なルックスである。男らしいが、どこかに甘さがあるというところだろうか。年齢は40歳を超えている。30歳代後半に、この仕事を始めただけあり、大人の嗜みと少年の華やぎがある。ミック様とは、10年ほど前に、あるスワッピングパーティが縁で知り合い、“兄弟”として、鳴らしたこともあるそうだ(笑)。
 
出張ホストとして、一期一会、失敗の出来ない出会いを繰り返しているという彼にとって、コミュニケーションをとることは、すべての基本である。“話す・聞く・見る”ことがなければ、彼の仕事は成立しない。それはグループセックスの場でのコミュニケーションにも通じる。ある種、一瞬の出会いに全身全霊をかけることでもある。最初の“こんにちは”という挨拶からも、相手の情報を得ることができるという。言葉のニュアンス、トーン、表情から、それを読み取る。その情報を分析して、対応を組み立てていく。何を求めているのか、何をすればいいのか。ただ、漫然と、聞き流したり、見逃したりしてはいけないのだ。
 
コミュニケーションをとるのが仕事ゆえ、その場には多種多様な方がいて、均一ではない、だから、普通の世界以上に空気を読むことに精神と身体を傾注する。その差異を充分に認識して、対応することだという。どれも当たり前ではあるが、いざ、その場にいると意外とできず、緊張の中、意思疎通ができないため、埋没する方が多い。そういう面では、場数を積んでいるからこそ、瞬時に的確に対処できるのかもしれない。
 
と書くと、ある種のコミュニケーション講座のような、堅苦しいものを感じてしまうかもしれないが、ミック様と藤原幻様の対話は、掛け合い漫才(!?)のように、ぼけとつっこみ(というか、悪魔サイドと天使サイド!?)を使い分け、思わず、引き込まれてしまう。きっと、現場に、こんな“兄弟”がいたら、その場にいる全女性は一気にもっていかれてしまうはず。
 
また、二人からは、話から事に至るための“秘儀”も伝授される。二人だけの会話になった時に、ラウンジからプレイルームへ誘う頃合、間合いも大事である。緊張するのは当たり前で、それを乗り越えようとするのではなく、共通項を見つけ、共鳴させ、密着させていく。具体的にいうと、会話をしながら、共通項を見つけ(それはお互いに緊張しているということだけでもいい)、親和性を持たせ、さりげなく、身体を近づけ、相手から自然と体重がかかるようであれば、近づきたいという証拠であり、それが離れるようであれば、逃げたいという証拠である。そんな体重の移動の微妙な変化を体感して、見落とさないことだ。誘う時も耳元で、小声でかければ、了解するにしろ、断るにしろ、相手には負担にならないという。流石、経験豊富な強者ゆえの対応といえそうだ。
 
その誘いも“時機”を見ることも大事だ。いまは駄目でも少し時間が経てばいいこともある。また、時間が経ってしまえば駄目で、いまがいいこともある。
 
カップルの場合は、まず、男性と親しくなること。男性に気に入られ、信頼を得なければ、そのパートナーの女性とプレイルームへ行くことはできない。その男性との関係がちゃんと築ければ、人の奥さんとセックスをして、お礼をいわれる。そんなことは、この遊びだけだという。
 
逆に女性は嫌であれば、はっきり断ってもいいという。そういうことがいえないような環境では、それは正しい場所ではないそうだ。
 
1時間ほどの講演だが、あっという間に時間が過ぎていく。会場は熱気と笑いが渦巻く、という、いままでの講座とは趣を異にしつつも、講義の核であるコミュニケーション論は外さない。
 
休憩を挟んで、受講生と講師の質疑応答だ。ここで、ルポライターの下関マグロ様が代表質問(!?)。ホストという仕事の中で、相手との関係などを聞いていく。藤原幻様は、変に依存はせず、弱いところは見せても、甘えてはいけないという。それは、ある種、彼の矜持みたいなものかもしれない。また、先日の交流会で、講演をしていただいた官能小説家・加藤文果様からも質問が飛ぶ。相手の魅力をどうやって見つけるのか、ということを聞く。その魅力を探るのはプロとして技術であり、それを感じとるのは素としての感性だという。それが対応していく上でいろんな意味で、役に立つそうだ。
 
まるで、記者会見のようである。受講生からは、この世界で出会った人と本気になったらみたいな質問が飛んだが、そんな人に出会えるのは幸せなことかもしれないが、そこで付き合っていても誤差やぶれが生じ、あまり、幸福な結果にはならない。ならば、敢えて“遊び”として留めておくべきという。それゆえ、遊びの時間であり、遊びの学校なのだ。
 
質疑応答後は、マグロ様を改めて呼び出す。彼は当初、名誉教頭として、公開講座の司会・進行などを務めていただいたが、本来のジャーナリストとして伝える側に立ちたちという意向から、外から関わっていただくことになった。そのことの報告も兼ね、登壇していただく。彼いわく、「こんな学校は世界を見渡しても、どこにもない」そうだ。前代未聞の学校、いい響きではないか。
 
幹事会から来年の予定(今年以上に精力的に活動する)を発表していただき、最後にはミック様に締めていただく。
 
相手のことを思ってない、自分のことしか考えてないセックスをする人は、気の毒である。いいセックスをしてくれる人はいい人であるという。セックスに限らず、「人にやさしく」なることの大切さを訴える。
 
そのやさしさを学ぶことが「遊びの学校」の目的かもしれない。講演後、何か、暖かくなるものが受講生達の心の中に芽生えたようだ。誰もが笑顔であり、多幸感に包まれている感じさえする。
 
いつもなら、女性、カップル、男性の順番に規制退場(入場はその逆)していただくのだが、今回は、今年最後の講座ということもあって、急遽、忘年会を兼ねた食事会を開くことになった。当初は、幹事会のみの軽い打ち上げ程度を予定していたが、そのことを告げると、参加を希望するものが増加。20名を超える。慌てて会場を押さえる。急ごしらえにしては、雰囲気も良く、食事も美味しいと、ネットでも評判の店をリザーブでき、全員で移動する。
 
ミック様に乾杯の音頭をとっていただくが、ここでも「遊びの学校」らしく、“給食の時間”になることを宣言。食育(!?)みたいなものかもしれない。
 
続々と美味しいお酒(フルーツビールもあり!)や料理が運ばれてくる。それを横目に、幹事会のスタッフがこっそりと退室。渋谷の街を走りまわる。実は、その日、誕生日を迎えた受講生(男性です!)のために、ケーキを買いに行ったのだ。突然のことだし、時間も10時近くになっている。なかなか、ケーキ屋などはやってない。レストランやバーで、ケーキを分けてもらう交渉をするが、どこも忘年会などのため、貸切状態で、用意ができない。そこらじゅうを探しまくるが、なかなか、見つからない。漸く、渋谷の駅の側でケーキ屋を見つける。既に30分以上がたっている。寒空の中、走り回ったのだ。
 
そのケーキを、食事会を開いている店の人に頼んで、ろうそくを立て、出してもらう。突然のことで、驚く受講生。照れながらも嬉しい顔をしている。バースディソングを歌い終えると、ろうそくを吹き消しもらう。サプライズな演出。遊び心である。そのためには、私達は労力を惜しまない。
 
食事会は、和やかな雰囲気の中、時間が過ぎる。先の講座で学んだことをそのまま実践するように、忘年会的な無礼講に陥ることなく、終始、講師の教えを守り、コミュニケーションの基本を実践していく。
 
その会は、終電前、0時には散会させていただいた。遊びの学校の今年最後の授業は確実に、来るべき年への礎となり、より大きな実りへの予感を抱かせる。